主の使い



「主の使いハガイは、主からの使命を受けて、民にこう言った」

             ハガイ 1:13 


 ハガイ = 「主のメッセージに生きる主の使い」(英文テキストより)


 

 

 牧師というものを人は一体どのような期待をもって見ているのであろうか。


 さしずめ、病床に寄り添っては医者、

声は、英国国営放送(BBC)のアナウンサー、

サイの皮のような皮膚をして、

ヨブの忍耐を持ち、

牡牛のような力があり、

映画スターのような性格と体格をしているといところであろうか!


 しかし、聖書はもっときびしい要求をしている。


 すなわち、

「主のメッセージに生きる主の使い」となることである。


 注目する価値のある表現であるが、

この「主の使い」について三つのことが少なくとも示されている。




 第一に、「主の使い」は真理によって形づくられている。


 この点については二つの重要なことが考えられる。

まず、彼は真理を学ぶ人でなければならない。

主のメッセージを語り、示すためには、

自分自身がそのメッセージを学ぶ必要がある。


 単なる説教者ではなく、「主の使い」であり、

主が語られた通りに語る「キリストの使節」である。

であるから、彼は常に真理のことばを学び続ける。


 牧師の生活の中にあって、学ぶことを止めてしまうこと以上の悲劇はない。

彼のメッセージは、量り難いキリストの豊かさを語るのであるから、

語る題材にかりそめにも欠けるようなことがあってはならない。

 しかも、その語ることは単調な繰り返しでなく、常に新鮮で

創造的であるべきである。


 次に、「主の使い」は真理を生きる者でなければならない。

まさに、「主のメッセージに生きる主の使い」なのである。


 ということは、神の真理こそ、彼が呼吸する息そのものであり、

また生活環境でなければならない。

 

 真理は学ばれるだけではなく、生活されねばならない。

自分が語るメッセージの表現そのものと彼の生活はなるのである。


「人格を通しての真理」というのが典型的な説教の定義であるが、

真理が人の人格の中を通るとき

その人格は真理に、それ自体を適応させなければならない。



 第二に、

「主のメッセージに生きる主の使い」には、主のメッセージの香りがある。


 二つの現代語訳に、ここで助けてもらうことにする。


モファットは、Ⅱコリント2:14を次のように訳している!

「主は私の人生をキリストにある常勝の行列とし、

私によってどこにおいても、ご自身の香りをはなってくださる」。


フリップスは同じ聖句を

「かぐわしい香りのように、私たちの主の知識を全世界に

広げられる神に感謝を捧げる」

と訳している。


 この香りは、主との交わりがもたらす感染力のゆえである。

かぐわしい香りは本質的にキリストご自身のものであるが

主の近くにはべることによって、その香りが「主の使いに」移ってくるのである。


 ちょうど、リネンのシーツをラベンダーの花と共に置いておくとその香りが

ついてしまうように、

キリストのそば近くに生きるとき、主の香りそのものをいただくことになる。


 また、この香りには

人の心を惹きつけるものがある。


 香りの良い香水は人の心を惹きつけるが、

福音の使者の人柄にも、何か人の心を惹きつける魅力があるべきである。


 


 第三に、

「主のメッセージに生きる主の使い」は、自我を忘れて無となる。


 真理によって形づくられ、

主との交わりのゆえにかぐわしい香りとなり、

その働きにあって自らを無とする 

 ー これが「主の使い」である。


 牧師の目にすぐ留まるところに二つの聖句が置いてある教会のことを

聞いたことがある。


 一つは、

「先生。イエスにお目にかかりたいのですが」(ヨハネ12:21)で、


もう一つは、

「彼らが目を上げてみると、だれもいなくて

ただイエスおひとりだけであった」(マタイ17:8)であった。



 確かに、私たちは教会の働きの中にあって

人格の占める位地というのもを無視することはできない。

事実、神は各種の異なった人格を用いて、いろいろの人格の人々を伝道するよう

導いておられる。

 

 しかし、同時に、人格のもつ危険ということも忘れてはならない。


 説教者は自分自身や、自分の説教に人々を惹きつけるのではなく、

自分の主ご自身に導くのがその働きなのである。


 なぜなら、彼は、究極的には

「主のメッセージに生きる主の使い」でしかないからである。






「私は、巧妙なる思考

 華麗なる絵

 美しきことば

 心をおどらせ、燃やす調べを

 求めることをしない。

 

 私はただ、あなたの衣のへりに触れ

 その香りを

 私のことばにいただきたい」

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